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ボランティア
斎藤小学校がラオスで開校 ロムサッタイ村の大歓迎
ボランティア
2019.05.07
斎藤小学校がラオスで開校 ロムサッタイ村の大歓迎
4月19日 ラオス南部のロムサッタイ村にて、新しい小学校校舎が完成しました。
栃木県の斎藤美恵子ボランティアキャプテンの名を冠した斎藤小学校。
学校につくまでの道のりは大変なものでした。
深夜12時30分に羽田を発ち、その14時間後には学校に到着。
弾丸行程でしたが、子どもたちに迎えられた途端、栃木県一行18名の疲れは吹き飛び、感動の嵐になりました。
写真上はタイ・ラオス国境付近の幹線道路です。
羽田から始まった弾丸行程の往路もあと少し。国境を越えればホテルでひと息、というところで、思わぬ足止めがありました。
タイからラオスへ入国しようとした際、これまで求められたことのなかったビザ取得を指示されます。
(ラオス滞在が15日以内の場合、ビザ取得が免除されます)
開校式に外務省局長が出席するため、一行のビザ取得が急遽必要になったということです。
栃木県・西川孝之キャプテンはこのとき、頭の中でこうつぶやいていました。
「またか……今回こそは順調に進むことを祈っていたのに」
2016年9月 ベトナムの台風、2018年1月 関東の大雪と、これまでの学校訪問でたびたびトラブルに見舞われた栃木県の一行の脳裏に、不安がよぎります。
しかし、ラオス外務省からの指示文書には「エルセラーン一行のビザ取得費用(30ドル)と写真の提出は特別に免除すること」とあったそうです。
これが功を奏し、時間はかかりましたが、ラオスに入国できました。
写真下がラオス・パクセの道路です。
仏教国であるラオスでは、牛は神聖な生き物。
中央分離帯を悠然と闊歩する様は、日本では見ることができませんね。
ラオスに入国すると、牧歌的な雰囲気が一気に強くなります。
学校まで、あと少しです。
「コンニーチハ!」「サバイディー!」
日本とラオス、2つの国のあいさつを大声で、2つの国の旗をふり、一行を出迎えてくれました。
子どもたちの元気いっぱいの声は、疲れを一気に吹き飛ばしてくれました。
学校の先生がたが、ひとりずつ、腰に布を巻いてくれます。(写真上・大島ボランティアパートナー)
旅の客人を迎える作法のひとつです。
先生が着ている服は軍服。
社会主義国であるラオスにおける、公務員の正装です。
大人も子どもも入り混じっての開校式がいよいよ始まります。
子どもたちの歓迎を受けながら歩くと、新校舎(トップ写真)が見えてきます。
そしてその横には、古い木造の校舎(写真下)が。
驚いたことに、「まだ使っている校舎」だそうです。
遮音性が低く雨や風が吹き込む壁、地面はむき出し。
このような環境で勉強していたのですから、新しい校舎を初めて見た子どもたちがどれほど喜んでくれたか、想像に難くありません。
生徒代表(写真上・斎藤キャプテンと) スピーチ全文
「日本から来てくれたエルセラーンの皆さん、今日はこの村のこの学校まで来てくださって、本当にありがとうございます。
皆さんに会えたことが、とても嬉しいです。
皆さんのご支援によって建設することができた校舎を、ずっと大切に使うことをお約束します。
そして、皆さんからの『頑張ってね』という言葉に応えられるよう、一生懸命勉強することをお約束します。
また、私たちの次に勉強することになる、妹たち、弟たちにきれいな校舎を渡せるよう、ずっとずっと、きれいに保つことをお約束します。
最後に、日本の皆さんとご健康と幸福をお祈りします」
村長(写真下) スピーチ
「日本の皆さんからのご支援に加えて、村人たちも大いに力を尽くしてくれました。
地域が一丸となって学校建設に尽力したことで、『校舎を大切にします』ということを胸を張ってお約束することができるようになったと思います。
村の大人たちは、子ども達に適切な教育を行うことの大切さを理解しております。
今日来てくださった日本の皆さんも同じように思っておられることでしょう。
日本の皆さんと村人が、同じ気持ちでいるということが、本当に嬉しい限りです。
今日、日本の皆さんを歓迎できることを、子ども達も本当に楽しみにしておりました。旗を作って、楽しみにしていたのです。
日本のエルセラーンと、ラオスのロムサッタイが同じ熱意と熱気を持っていることで、今日もとても熱い日になりました。それもまた、とても嬉しいです」
開校式の終盤、エルセラーン一行は、村の歓迎へのお礼に、簡単な踊りとともに、歌を歌います。
エルセラーン1%クラブ学校建設テーマソング「白いノート」
子どもたちが一行に近づいて、一緒に踊ってくれました。その後ろには先生がた。
ラオスの農村部では、自国の首都にさえ行くことなく、一生を終える人もいます。
♪海ってどんなの? いつか行ってみたいけど
村から出たこと まだ一度もないんだ
郡代表のスピーチにこんな言葉がありました。
「将来、日本などの海外で働く若者も、これから出てくると思います。
生徒の皆さん、夢を与えてくれたエルセラーンをしっかりとつかまえていてください。
勉強は、明るい未来を作ります。今回の開校式に外務省の担当セクション局長が来ていることからも、この学校の校舎建設プロジェクトが、どれほど注目されているかがわかります。
頑張って勉強して、立派な大人になってください」
勉強すると、世界が広がる。
白いノートの歌詞を肌で感じた一行でした。
開校式会場はテントの下から、校舎の前へと場所を変えます。
テープカットに続いて登場したのは大きなドラ。(写真上)
郡代表がバチを持ち、斎藤キャプテンに身振り手振りで話しかけます。
「私とあなたで、一緒にやるんですよ。私が先に鳴らします。そのあと、鳴らしてください」
郡代表が5回、斎藤キャプテンが5回、鳴らしました。
涼し気とはいかないまでも、素朴で温もりのあるドラの音が、ラオスの山々に響き渡りました。
バーシー・スークワンという儀式がラオスにはあります。(写真下)
旅人の安全と幸せを祈る儀式です。
村人、旅人ともに、祭壇に手を向け、長老にあたる人が祈りの言葉を唱えます。
その後、村人は旅人の手首に白い紐を結いつけます。
ラオスではメジャーな儀式ですが、これが開校式で行われると大騒ぎです。
生徒、村人、全員参加で日本人一行の手首を目指して紐を持ってきます。
一本一本は細い紐がいつの間にか包帯のように大きく、分厚くなります。
「これはいつまでつけておくものなんでしょうか?」
栃木の皆さんは初体験の人が多かったようです。
折り紙のプレゼントのお礼に、ココナッツジュースをいただきます。
村を挙げての開校式は、日が傾き、涼しくなったころに終わりました。