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ボランティア
2019.08.10
海外で出版された絵本を紹介
エルセラーン1%クラブと提携する『公益社団法人シャンティ国際ボランティア会(以下SVA)』は難民キャンプなどでの地域で、絵本を作成するなどの図書事業を展開しています。
世界には一度も絵本を読んだことのない子どももいる。
そんな場所に絵本や本を届ける活動です。
エルセラーン1%クラブに集まった寄付金は、このSVAの図書活動もサポートしています。
エルセラーン1%クラブとSVAとの提携によって出版された絵本を紹介します。
【時計の針のしごと】
僕は、時間をしめす針。
私は、分をしめす針だよ。
私は、秒をしめす針です。
僕たちは丸い時計の面の上で一緒に働いている。
街の中心にある時計の塔で暮らしている。
街の人みんなが、陽が昇ってから暮れるまで、僕たちを見ている。
ある日、秒の針が不満を言いはじめた。
「ぼくたち3人のなかで、私が一番たいへんな仕事をしている。きみたちがやっているみたいに、もっとゆっくり動きたいよ」
分の針も「私だって、時間の針よりもたくさん動かなければならない。時間の針は、3人のなかで一番の怠け者だよ」と時間の針に不満を言いました。
なんども不満を言われて、時間の針は我慢ができなくなって言いました。
「きみたちが僕を怠け者だと思うなら、どれだけ僕が速く動けるか見てもらうしかないな」
すると、速く動きはじめました。
時間の針が速く動くと、分の針と秒の針も今までにないくらいに速く動いて、時間の針と一緒に速く動きだしました。
ついに、分の針と秒の針のふたりはへとへとになり、時間の針に「前と同じように普通の速さで動いてくれ」と頼みました。
でも時間の針は、ふたりの言うことを聞くどころか、さらに速く動いたのです。
分の針と秒の針は怒って、動くことをやめることにしました。ふたりは叫びました。
「いち、にの、さん! とまれ!」
分の針と秒の針が動くのをやめてしまったので、時間の針も自然に止まってしまいました。
街の人たちは、いつものように時間を確かめようとして見上げると、時計が動いていないことに気がつきました。
時計の塔の、動かなくなった古い時計は、新しい時計に取り換えられました。
壊れた時計は、ゴミ置き場に投げ捨てられました。
針たちは、とても臭くて、汚くて、ほこりっぽいゴミ置き場が嫌でした。
そこで、分も秒も時間の針も、心から後悔しました。
「お互いに不満を言うことはしないで、自分たちの仕事をきちんとやっていれば良かった」
しばらくすると、ひとりのゴミを集める係の男が、ゴミ置き場にやってきて、壊れた時計を見つけて家に持って帰りました。
その男は思いました。
「この時計を動くように直して、きれいに色を塗ってみよう。それからぴったりの場所に掛ければ、きっと素敵に見えるぞ」
男は直した時計を、自分の今の壁に掛けました。
男は時計に話しかけました。
「60秒は1分、60分は1時間。きちんと動かなければ、この時計はガラクタってことだ。さぁ、どうだ」
時計の針たちは、自分たちがやった間違いを、とても後悔して、以前のように真剣に自分たちの仕事を果たしました。
ゴミの係の男は素敵な時計を手に入れて大喜びでした。
それ以来ずっと、時計は居間の壁に掛かっています。
いかがでしたか?
みんなでなかよく助け合って、ひとりひとりが自分たちにできることをする、ということが大切だと教えているんでしょうか。
里帰りの季節です。
海外の絵本を子どもさん、お孫さんに読み聞かせみてはいかがでしょうか。
絵本出版:公益社団法人シャンティ国際ボランティア会 ミャンマー(ビルマ)難民キャンプ事業事務所