ボランティア

ネパールで田中高校の開校式

2018年10月28日 ネパール カトマンズから車で3時間半。山間のマニケル村ブッダハ・バグワンで、奈良県 田中琴二キャプテンの名を冠した「田中高校」の開校式が開かれました。エルセラーンメンバー17名が現地の歓迎を受けました。

 校庭を囲む階段は円形劇場を思わせます。その階段の上に、田中高校の校舎が建っていました。10学年、330人を擁するこの学校は、長年、教室不足という課題を抱えていました。2015年の地震によって、使用できる教室がさらに減少。耐震構造の校舎の建設は急務となりました。

 2階建て4教室の校舎の完成を迎えたこの日、校長先生はこう語りました。

「遠い日本からようこそお越しくださいました。日本の皆さんとこの学校の私たちは、お互いに全く知らないもの同士でした。そんな会ったこともない人、行ったこともない村の為に学校を建てる行いは本当に素晴らしいと思います。さらに、この校舎は着工から1年と待たずに完成を迎えました。これはネパールという国、そしてこの村の地理を考えると奇跡的と言えます。心から感謝いたします。日本に戻られた皆さんの夢が叶うこと、皆さんのお仕事がうまくいくことをお祈りしています」


 開校式は「主役は子どもたちではないのか?」と思ってしまうほど、喜びはしゃぐ大人たちが、かわるがわる出てきます。
 自作の歓迎歌を披露する男性教員(写真)。歌詞には何度も「ようこそ」を意味する「スワァーガタン」が出てきます。陽気な歌いぶりに、エルセラーン一行の席からも笑いが起こりました。

 歌詞の訳を聞いたとき、この村の本当の喜びを知りました。

「日本の皆さんを歓迎します。教育を大切に考える皆さんはとても心がきれいな方です。日本の皆さんは、この学校の生徒たちのお父さん、お母さんです。これからもたくさんの子どもたちに『きれいな心』を教えてください。皆さんはきれいな心の湧き水のような存在です」

 この歌詞に勇気づけられたエルセラーンメンバーもいたことでしょう。


 オイルランプの儀式はネパールではとてもポピュラーなものだそうです。
 物事の新たなスタートの際、明るい門出を願って、灯りをともす。
 実はこの時、うまく火がつきませんでした。主賓である田中キャプテンは、涼しげな顔の下で、少し慌てたかもしれません。

 しかし一方で、支援が入りにくい地理にあるこの村の、新しいスタートを切りたくても切れない、そんなもどかしさが、小さな火に表れたようにも見えます。

 頑張りたい人が頑張れる。そんな当たり前の環境が整った時を象徴する一幕でした。


 ネパールには手漉き紙の文化があります。
 この学校で勉強する生徒たちが、エルセラーン1%クラブへの感謝の気持ちをしたためてくれました。

「新しい校舎を建ててくれたことに心から感謝します」

「安心して校舎の中で勉強ができるようになりました」

「地震が来てもこの校舎があれば怖くありません」

「この学校をプレゼントしてもらった生徒一同、心から感謝いたします」

 

ネパールに住む少数民族 タマン族の伝統的な踊りが、式典を華やかに彩ります。
 この地域―マニケル村ブッダハ・バグワンは75%がタマン族です。

 タマン族の少女が入れ替わり立ち替わり、様々な音楽に合わせて踊りを披露してくれます。
 踊りの上手な上級生が選ばれることが常だと、説明を受けました。
 彼女たちを見る下級生の眼には「次は私が」という野心が光ったかもしれません。

 歌、踊り、マリーゴールドの花輪。
 色とりどりの歓迎を受けた学校を一行は後にしました。



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