
【ベストシーズンのツアー】
玉村小学校から南茂小学校への道のりは約1時間。人と車の洪水の街(ダッカ)とは、うってかわった農村地帯です。
バスの窓には時々、緑の中に、池(写真㊤)や川が流れていきます。
バングラデシュは5月から10月が雨季。毎日土砂降りの雨が降り、国中が水浸しになります。
11月から4月が乾季で、ほとんど雨は降りません。
「今は日本の初秋です」と旅行会社のスタッフ。この日も、上着をはおっても大丈夫。日本の9月の終わりごろの気候。旅行会社のスタッフは「ベストシーズンでのスタディーツアーです」。
南茂小学校(写真㊦)に着くと、子どもたちだけでなく、おおぜいの村人たちが集まっていました。

【圧巻!原稿なしであいさつ】
開校式が始まりました。
子どもたちが「日本の人たち、ようこそ」という曲を合唱しました。
校長先生は、女性です。アスマッタ校長(写真㊤)は、次のようにあいさつしました。
「学校が完成して、何より子どもたちの勉強する様子、態度が一変しました。心から喜んで勉強していることが、よくわかります。日本人は肌も、身に着けているものもきれいです。でも、この学校建設を通じて、心もきれいであることを知りました。私たちのために力を尽くしてくださったことが、本当にうれしいです。ありがとうございます」
目を見張ったのは、南茂キャプテンのあいさつ。原稿を読むことなく、自然体の会話形式で、子どもたちに語りかけました。
「みなさん、いろいろなチャレンジをしてください。成功しても失敗しても、(その体験は)宝物になります。いっしょに勉強するお友だちも、宝物です。みなさんが宝物を大きくしながら笑顔で学校に通う姿を(日本から)見守っています」
そのあと南茂チームの杉本貴美恵さん(写真㊦左端)や長谷美友紀キャプテン(写真㊦右端)らが、子どもたちにドッジボールなどの遊具や文房具を贈り、笑顔の輪が広がりました。

【歌った。踊った。弾けた】
石田裕之さんのリードで、「白いノート」を合唱し、踊りました(写真㊤左)。
「幸せなら手をたたこう」では、手をたたき、肩をたたき、足を鳴らし、大笑いしました(写真㊦)。
折り紙、素焼きのツボ割り(スイカ割り)…子どもたちとの交流タイムでも、みんなが弾けました。
江良貴子キャプテン(写真㊤右)は、どの開校式でも大立ち回り(エキサイトメント)。折り紙に「ふーっ」と息を吹き込み、次々と風船や折鶴をつくっていました。

【写真は語る】
子どもたちにインタビューした南茂キャプテン。夢を聞いた後、女の子をしっかりと抱きしめました(写真㊤)。
イヤリングをしておしゃれした子どもたちですが、足元を見ると裸足でした(写真㊦)。
「貧しいから靴も買えないのでは」と思ってしまいがちですが、NPO法人「P.U.S(バングラデシュの村を良くする会)」の代表、岩下八司さんは、次のように話しました。
「決して、貧しさだけが理由ではありません。私たちが靴をおくっても、子どもたちは履きません。裸足の生活が、文化になっているところがあります。子どもたちの指は、裸足でもしっかりと地面をとらえるように、鍛えられているのです」
海を越えてのおつきあい。人々の暮らしの奥深さを等身大で理解することのむずかしさを、一枚の写真が物語っていたのでした。
