
【雨のち晴れ、ときめきのあぜ道】
朝。ダッカのホテルを出発する時は、ざーざーと雨が降っていました。
「乾季なのに、なんで…」
部屋に傘を取りに戻る人、雨ガッパを用意する人…出発時から大わらわ。でも、着くころにはきっと晴れる、とみんなが祈っていました。
すると、どうでしょう。バスが走るにつれて、青空が広がってきました。
「乾ききった土ぼこりで茶色になっていた木々の葉っぱも、緑をとりもどした。すべてがみずみずしくて、すがすがしい」
こんな声に包まれながら、現地の村に着きました。
「学校まで、少し歩きます」
ガイドさんの声で、一行はバスを降りて歩き始めます。
先導する観光ポリスの手には機関銃が(写真㊤左)。
P.U.Sの岩下啓子さんは、リキシャ(人力車)に乗っての移動です(写真㊤右)。
別のリキシャにも、キャプテンさんら2人が乗り、移動しました。
小鳥のさえずりが心地よく、のどかな田園の絵のような風景に、だれもが癒されます。
少し歩くと、ドラムや笛の音が聞こえてきました。
そして、木々の間にエルセラーンピンクの校舎が見えてきました(写真㊦左)。
奏でていたのは、子どもたちと村の人々(写真㊦右)でした。
中筋キャプテンの胸のときめきが、しだいに高鳴っていきました。

【光り輝く存在に】
開校式が始まりました。
校長先生(写真㊤左)は、次のようにあいさつしました。
「長年、教室不足に悩まされ、木の下で勉強してきました。老朽化が激しく、雨漏りで授業を中断しました。開校式を待たずに、新校舎で授業を始めたことをお許しください。校舎は村にとって、もはや、頼もしい存在です。離れた地域から通う子どもたちも、出てきました。教育を通じて、子どもたちが自分自身で光り輝く存在になれるよう、大人はそれを見守り育てられるよう、新校舎を活用してまいります。改めて日本のエルセラーンのみなさまに感謝します」
中筋キャプテンは大きな声で、「きょうからみんな友だちです」。ゼスチャーを交えて、投げかけの言葉が続きます(写真㊤右)。
(夫の栄さんは、ホテルに帰ってから言いました。「妻がこんなに快活で、エネルギッシュな女性とは思わなかった」)
児童代表の6年生、アラミン君(写真㊦)もあいさつしました。
「新しい校舎を建ててくださった日本のみなさん、ありがとうございます。ありがとうの言葉だけでは、感謝の気持ちを伝えられません。遠い日本の学校に通うお友だちにも、ごあいさつします。ぼくたちは新しい校舎ができて、きちんと勉強しています。貧しいけれど勉強の得意な生徒が夢を叶えられるよう、奨学金制度などで助けていただければ嬉しいです。日本のみなさんへの感謝の気持ちをもう一度述べて、ごあいさつといたします」

【文通…海を越えて】
中筋キャプテンと御主人の栄さんに、校長先生から記念の盾が渡されました。そして、中筋キャプテンの和歌山チームが、一斉に日本の子どもたちの手紙を掲げて、中筋キャプテンが子どもたちに話し始めました(写真㊤)。
「日本の高槻市立日吉台小学校(大阪府)の1年生から、みなさん宛てのお手紙を預かってきました。実は、息子が日吉台小学校1年生の先生をしています。国際理解教育の一環として『世界を知ろう』という授業があり、バングラデシュについて勉強したそうです。そして、日本のことも知ってほしい、日本の学校ってこんなんだよ!と書いてくれたのがこの手紙です。1年生で、字も覚えたばかりですが一生懸命書いてくれました…」
そう話して、何枚かの手紙を紹介しました。
<遊ぶとき、サッカーをしているよ。けっこう楽しいよ!たけるより>
<体育のじゅぎょうが楽しいよ。なわとびはとても楽しいからやってみて>
<小学校には、ひみつきちがあるよ>
手紙のファイルは4冊、90人分ありました。
すると、次の瞬間、10通の手紙(写真㊦)が渡されました。
P.U.Sのスタッフが、事前に日本の子どもたちからの手紙について伝えていて、ピングライル小(中筋小)の子どもたちが「返信」を用意していたのです。
3月7日の昼下がり、和歌山県御坊市の会議室。キャプテン会が開かれて、ピングライルの子どもたちの手紙を読んで、フェイスブックなどにアップしました。
10通の手紙は3月16日、中筋キャプテンから息子さんに託され、日吉台小学校に届けられます。

【まるで女子高生】
石田裕之さんの「白いノート」に続いて、中筋小学校でも「幸せなら手をたたこう」の大合唱が起きました。
佐藤アヤ子キャプテン(写真㊤の左端)、米倉直美キャプテン(同中央)、吉田佐知子キャプテン(同右端)も、明るく歌いました。
子どもたちとの交流会では、愛須祥子(あいすさちこ)キャプテンが折り紙を(写真㊦左)、川口桐江キャプテン(写真㊦右の左端)、江良貴子キャプテン(同中央)、竹越りゆ子キャプテン(同右端)も童心に帰って、というより、女子高生のノリで大はしゃぎしました。
