
【想像力と夢が広がるプレゼント】
石田小学校は教師5人、生徒121人。子どもたちはベトナムの国旗を手に、石田さんらエルセラーンの一行20人を出迎えました(写真㊤左)。
開校式は、子どもたちの踊りから始まりました(写真㊤右)。農業や林業、そして自給自足で約450人が暮らす村からも、ベトナム特有のノンラーという葉笠をかぶったお母さんたちが、村や地域の教育担当の関係者らといっしょにお祝いにかけつけていました。
石田さんたちは、図書コーナーの本棚や絵本もプレゼントしました(写真㊦)。
「教室に入って、図書コーナーに行くと、子どもたちの好奇心いっぱいの瞳に囲まれました。絵本のストーリーは、全部日本の物語だと聞いて、何かホッとした、温かいものを感じました。読み聞かせも行われると聞いています。子どもたちの想像力が培われていくことを、祈っています」と石田さん。石田さんたちの思いを酌んでプレゼントの選定などをしてくれたAEFA(アジア教育友好協会)や「CSD」のみなさんの心遣いが、胸に迫りました。

【村人の熱い想い】
エルセラーン化粧品教育部の向井ゆかり部長が、エルセラーン1%クラブの石橋勝代表(エルセラーン化粧品社長)のメッセージを披露しました(写真㊤)。
「ベトナムのみなさんは、勤勉で真面目な国民性によって新たな産業を興し、海外からの投資を呼び込んできました。都市との格差が大きいといわれる山間部でも、子どもたちの教育に熱心に取り組んでこられています。その熱意に、心から敬意を表します」
その石橋代表のメッセージを裏付けるようなあいさつが、退職して7か月になる、石田小学校の前校長、グエン・ティ・マイ・ホアさんから寄せられました(写真㊦)。
「この学校は1987年に林業の労働者の子どもたちのために、木材を集めて自分たちで建てた学校です。その後、1994年に本校(加茂小学校)ができ、ここは分校となりました。ずっと自分たちでやるんだ、と努力してきました。そして、AEFAのみなさまとお会いすることができ、エルセラーンのみなさまのご支援もいただいて、開校式を迎えることができました。崩れかかった校舎で勉強していた子どもたちが、今、新校舎にいることが本当に幸せです」
トイレや井戸も新築され、衛生環境も格段と改善されました。父母代表のヒウさんは、「私たちも学校と協力して、これからずっと木々や草花を植えていきます」とあいさつしました。

【好奇心と笑顔】
子どもたちは、まさに「不思議さに目を見張る力」(センス・オブ・ワンダー)を発揮して、遠い国からやってきた日本人を観察し、日本の国に想いを馳せました。
石田さんたちが、故郷(静岡県)の富士山をバックにした、新幹線やハナミズキのパネル写真を披露(写真㊤右)すると、子どもたちは身を乗り出して、食い入るように見つめました(写真㊤左)。
「交流タイムで教えた折り紙が、子どもたちの人気になって…。開校式が終わってからも、教えてくれ、教えてくれ、と、ちぎれた折り紙を持ってきて2度も3度もせがまれました。その時の、教えてほしいな、という子どもたちの顔が今でも、忘れられません」と石田さん。
「エルセラーン、ありがとうございます」という日本語でのパフォーマンスの時です。子どもたちは何度もやり直しながらも、はじけるような、飛び切りの笑顔を見せてくれました(写真㊦)。

【アオザイとメイク】
子どもたちの代表として5年生のチャン・ハイ・イエンちゃんが、あいさつしました(写真㊤)。
「いま、誇りと感動の気持ちの中にいます。山奥の田舎で暮らす私たちには、お金の問題や道路や衛生などの困難が、まだまだ、やまほどあります。でも私たちは、勉強の大切さを認識してがんばっています。日本のみなさまの有意義なプレゼントに、感激しています。私たちは将来、地元の村や国に貢献できるよう勉強に励み、みなさまのご恩に報いることをお約束いたします」
現役の先生に、開校式とは別の角度からインタビューしました(写真㊦)。先生方はみなさん、とてもアオザイがよく似合っていて、おしゃれですが、日ごろのお化粧はどうされているのですか、と…。
「アオザイは、私たちの正装です。お化粧は、みんな自分で思い思いにしています。メイクを指導してもらうような機会はありません。子どもたちの輝きが、私たちにも映えて美しくなればいいな、と思っています」
